2013年 11月 01日
住宅遺産「代田の町屋」
|
住宅遺産トラストが主催した
「代田の町屋」という住宅の見学会に行きました。
当日は、設計者の坂本一成氏の講演もあって、
とっても貴重なお話しを伺うことができました。
スクラップビルドが基本の日本では、近代建築の多くが解体されてしまいます。
私の印象としては、時代が新しいものほど、簡単に壊されてしまう感じがします。
私が設計を始めた20年ほど前に
建築雑誌に掲載され、羨望のまなざしで友人とみていた建物も
すでに、失われてしまったものもあります。
時代の変化とともに、器である建築も求められる機能が変化し
古い時代のものは、利便性が低下してしまい、
その価値も低くなってしまうのは仕方がありませんが
せめて時代の象徴となった建物は残っていってほしいものです。
それでも最近では、村野藤吾氏設計の千代田生命ビルが
新たに改装され目黒区役所として残ったり、
大きな建物は時代のニーズに合わせ、
何等かの形で保存される建物もでてきました。
しかしながら、個人所有の住宅について、
建物を残すことはさらに難しいようです。
建築を設計している人間なら、知らない人はいないであろう
伊東豊雄氏の「ホワイトU」も解体されてしまいました。
住宅遺産トラストとは、こうした事情を踏まえ
少しでも優れた住宅を残そうと価値のある住宅を「住宅遺産」として呼び
後世に残そうと活動している団体とのことです。
その住宅遺産トラストで今回取り上げられたのが「代田の町屋」でした。
今回は建主が亡くなれて、売りにだされることになり
買主の事情によっては、解体されてしまう可能性がでてきた為
多くの人にこの建物存在を知ってもらい
できればこのまま状態で建物が残ってほしいということで開催されたものだそうです。
シンポジウムでは、この建物の残し方についても色々と話がありました。
建物の構成は、中央に中庭があり、その当時としては斬新だったのか
今では割りと多くなったプラン構成で
中庭に面して高い天井のリビングダイニングあり、とても広々としています。
2階には2つ部屋があり、構成としては2LDKです。
講演の中で「単純に2階建に見える建物はつくりたくなかった、
その中間的存在を目指した」というお話しがありました。
内部を見学しただけでは感じなかったのですが
講演の後、改めて外部から建物を見学すると
そのプロポーションが明らかに隣りの2階建て家と違って低いのです。
内部を見た時は天井が低いという感じなかったということは
おそらく、空間ボリュームと各スケールの関係が
低さを感じさせないように、上手くいっているということなのだと思います。
また別のお話しではリビングの天井高さのお話しがありました。
私は広々とした良い空間だと思いましたが
坂本氏とっては不満があるらしく、
「あともう少しこの天井は低いべきだったと感じています。」
とお話しされていました。
空間のボリュームと天井高さの関係性をとことん突き詰める姿勢と
そのスケール感のすごさを感じることができました。
私の設計では、天井高は一般的に採用されてる高さ(住宅なら2.4m等)と
その他の法規的要因(斜線・日影規制等の高さ規制と延床面積との関係性)
で決定してしまうことが多く、反省も含め今後の課題としてしていきたいです。
今回の催しに参加していたのは私と同じ設計関係者が多いようで
残念ながら、この住宅が残ることに力を発揮することは難しそうですが
こうした活動により、建物の良さが買主に伝わり
実際に建物が残ることになれば、素晴らしいことだと思います。
佐々木 剛
「代田の町屋」という住宅の見学会に行きました。
当日は、設計者の坂本一成氏の講演もあって、
とっても貴重なお話しを伺うことができました。
スクラップビルドが基本の日本では、近代建築の多くが解体されてしまいます。
私の印象としては、時代が新しいものほど、簡単に壊されてしまう感じがします。
私が設計を始めた20年ほど前に
建築雑誌に掲載され、羨望のまなざしで友人とみていた建物も
すでに、失われてしまったものもあります。
時代の変化とともに、器である建築も求められる機能が変化し
古い時代のものは、利便性が低下してしまい、
その価値も低くなってしまうのは仕方がありませんが
せめて時代の象徴となった建物は残っていってほしいものです。
それでも最近では、村野藤吾氏設計の千代田生命ビルが
新たに改装され目黒区役所として残ったり、
大きな建物は時代のニーズに合わせ、
何等かの形で保存される建物もでてきました。
しかしながら、個人所有の住宅について、
建物を残すことはさらに難しいようです。
建築を設計している人間なら、知らない人はいないであろう
伊東豊雄氏の「ホワイトU」も解体されてしまいました。
住宅遺産トラストとは、こうした事情を踏まえ
少しでも優れた住宅を残そうと価値のある住宅を「住宅遺産」として呼び
後世に残そうと活動している団体とのことです。
その住宅遺産トラストで今回取り上げられたのが「代田の町屋」でした。
今回は建主が亡くなれて、売りにだされることになり
買主の事情によっては、解体されてしまう可能性がでてきた為
多くの人にこの建物存在を知ってもらい
できればこのまま状態で建物が残ってほしいということで開催されたものだそうです。
シンポジウムでは、この建物の残し方についても色々と話がありました。
建物の構成は、中央に中庭があり、その当時としては斬新だったのか
今では割りと多くなったプラン構成で
中庭に面して高い天井のリビングダイニングあり、とても広々としています。
2階には2つ部屋があり、構成としては2LDKです。
講演の中で「単純に2階建に見える建物はつくりたくなかった、
その中間的存在を目指した」というお話しがありました。
内部を見学しただけでは感じなかったのですが
講演の後、改めて外部から建物を見学すると
そのプロポーションが明らかに隣りの2階建て家と違って低いのです。
内部を見た時は天井が低いという感じなかったということは
おそらく、空間ボリュームと各スケールの関係が
低さを感じさせないように、上手くいっているということなのだと思います。
また別のお話しではリビングの天井高さのお話しがありました。
私は広々とした良い空間だと思いましたが
坂本氏とっては不満があるらしく、
「あともう少しこの天井は低いべきだったと感じています。」
とお話しされていました。
空間のボリュームと天井高さの関係性をとことん突き詰める姿勢と
そのスケール感のすごさを感じることができました。
私の設計では、天井高は一般的に採用されてる高さ(住宅なら2.4m等)と
その他の法規的要因(斜線・日影規制等の高さ規制と延床面積との関係性)
で決定してしまうことが多く、反省も含め今後の課題としてしていきたいです。
今回の催しに参加していたのは私と同じ設計関係者が多いようで
残念ながら、この住宅が残ることに力を発揮することは難しそうですが
こうした活動により、建物の良さが買主に伝わり
実際に建物が残ることになれば、素晴らしいことだと思います。
佐々木 剛
by housingpro
| 2013-11-01 21:36
<< 最近のお化粧室事情 | 免震 >> |