2014年 05月 23日
湘南港ヨットハウス
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江の島にある湘南港ヨットハウスの内覧会に参加しました。
この建物は、1964年に谷口吉郎氏が設計した
現在の建物の老朽化にともない建替えられる新しいヨットハウスです。
海をイメージしたと思われる大きくうねった屋根と
入口のホールから2階のテラスまで一体となった
シームレスな空間が特徴的な建物です。
大きくうねった屋根はそのまま天井となっており、
内側からみると、まるで自然の洞窟にいるかのような感覚があります。
もちろん、自然界にこのような空間があるわけではありませんが
ある種の法則(作り易さ)の従って建設される人口的な空間にはない
曲線の連続が自然を感じさせるのかもしれません。
うねった屋根の一部には切れ目が入っていて
ハイサイドライトとなっています。
その屋根に開けられた開口は大きな空間の明かりとりとなると同時に
天井も照らすことで屋根のうねりに陰影がでて
よりのその形状を強調し、幻想的な空間を演出する効果を
生み出していると感じました。
隣接する現在のヨットハウスも見学しました。
こちらは一転して直線を基調とした形状で、三角形の屋根が印象的な建物です。
直線的な鋭さを出す為に、2重になった軒先と
屋根が高くなるにしたがって軒の出寸法が大きくなる形状が
空に向かって伸びるの屋根の印象をより強くしていると感じました。
それは私が考えるに空に向かって伸びるヨットのマストをイメージしたものと思われ、
そのイメージが見事に表現されているのではないかと感心しました。
この建物が解体されるのは非常に残念です。
確かに老朽化は進んでいるようですが、
補強と改修により別の用途に使用できればと感じずにはられません。
佐々木 剛
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